紫陽花が鮮やかに色づく季節となってきましたね。
ココカラフルでは、5月末をもって卒業された利用者さんが3名みえます。
そこで、今回から3回にわたって、卒業生の皆さんからいただいたメッセージをご紹介します。
実は今回の記事タイトルは、卒業される利用者さんの1人が書いてくださったものです。
とても素敵だったので、このまま使わせていただきました。
ココカラフルに関心を抱いてくださっているあなたに、ぜひリアルな声が届きますように。
それでは、ご覧ください。
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陽当たりと安心感 ― ココ・カラ・フル通所一区切りを前に
今週で、就労移行支援事業所「ココ・カラ・フル」への通所が一区切りとなります。
昨年の7月中旬からお世話になり、約10ヶ月。来月からは、トライアル就労に入ることになります。
通っている間、いろんなことがありました。
今回は、これまでの感謝と、これからに向けた気持ちを、ひとつの節目としてここに書き留めておこうと思います。
ココカラフルに決めるまで、実は複数の支援事業所を見学・体験しました。
どこもそれぞれに良さがあって、正直かなり迷いました。
支援内容、スタッフの雰囲気、プログラムの内容……
もちろんそれらも大切でしたが、最終的な決め手になったのは、ちょっと意外なことでした。
それは、「陽当たり」です。
ある晴れた朝、初めての体験利用で訪れたとき。
窓から自然光がやわらかく差し込んでいて、室内がほんのりあたたかかったんです。
少し緊張していた心がふっとほどけて、「あ、なんかいいかもしれないな」と感じたのを、今でもよく覚えています。
合理的な判断に見せかけて、最後のひと押しをしたのは「感覚」でした。
そんなふうに選んだ場所だからこそ、ここで過ごした日々は自然体の自分でいられたのかもしれません。
ココカラフルで特に印象的だったのは、「アセスメント(特性理解)」にしっかり時間をかけてくれたことです。
ここでは、「働けるようになるために、何を変えるか?」ではなく、
「自分らしく働くために、どうすればよいか?」を一緒に考えてくれる。
自分の中にある苦手や得意を、無理に修正するのではなく、
「どう活かすか」「どう補うか」という視点でサポートしてもらえる場所でした。
たとえば、静かな空間のほうが集中しやすいとか、逆に誰かがそばにいたほうが動きやすいとか。
そういった“感覚のクセ”を、否定されることなく見てもらえたことで、
自分自身の扱い方が少しずつ分かるようになってきました。
調子が良くない日もありました。
なんとなく気分が乗らなかったり、他の人と比べてしまって落ち込んだり。
でも、そんなときに「それでも来てくれたんですね」と言ってくれるスタッフの方がいたこと。
「続けられたこと自体が成果ですよ」と声をかけてもらえたこと。
そういう言葉が、少しずつ自分の背中を押してくれました。
支援員のみなさんは、いつも“距離の取り方”が絶妙でした。近すぎず、遠すぎず、必要なときに寄り添ってくれる感じ。
まるで、日向に置かれた椅子のように、そっとそこにいてくれる存在でした。
トライアル就労が始まれば、また新しいリズムのなかで過ごす日々が始まります。
正直、不安がないといえば嘘になります。
でも、ここで学んだことや経験したことは、しっかりと自分の中に残っています。
「長く働くために、自分をどう守るか」「無理なく続けるには、どんな工夫がいるか」
そういった“働き方の種”を、ここでたくさん受け取らせてもらいました。
今の自分なら、それを少しずつ育てていける気がしています。
ココカラフルは、ただ就職を目指す場所ではありませんでした。
ここは、「自分を受け入れ、自分のままで働く準備をする場所」だったと思います。
改めて、関わってくださったスタッフの皆さん、利用者のみなさん、ありがとうございました。
陽当たりの良いこの部屋で過ごした日々を胸に、次の場所へ進んで行ければと思います。
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<担当支援員からの言葉>
約10ヵ月間、本当にお疲れ様でした。
ブログを読んだ直後である今、涙を堪えながらコメントを書いています。
ココ・カラ・フルが大切にしていることを深く理解し、
多数ある事業所の中から直感で選んでいただけたこと、非常に嬉しく思います。
そして、温かいたくさんのお言葉をありがとうございます。
ただひとつ言えることは、その温かな雰囲気を作ってくれた(そう感じられた)のは、
紛れもなくご本人の努力があってこそです。
我々は、ご本人の特性に合わせた支援や、能力を最大限活かすための訓練提供はしますが、
どこまでいっても最後はご自身の頑張りが必要です。
これからトライアルでの就労となりますが、引き続きともに前へと進んでいきましょう!